Dgoto24は先日ゲーミングpcを購入しました。
23万円とかなり痛手の出費でしたが、少しでも取り返せたらと思い、仮想通貨のマイニングをしています(月5000円ぐらいです。マイニングのやり方についてはこちらを参照してください。乞食【数百円/日】〜マイニング〜 - Dgoto24のブログ)
さて、マイニングはpcを常に稼働させ続け、pcは熱を持ちます。pcは高温になると故障の可能性が出てきます。80℃を超えてくると危険らしいです。
pcには多くの吸気口と排気口が取り付けられていますが、その他空気循環ファンやグラボの制御ソフトも使用しています。しかし、そもそも夏になったら気温上昇のためにエアコン無しには高温になってしまうのではないか?という疑問があります。それによっては、空調代を抑える等工夫をする必要があります。
また私はpc内にホコリが入るのを防ぐためにフィルターを取り付けています。ホコリの除去掃除前後の温度変化について調べてあるブログがありましたが、ネットを適当に調べてみても、ホコリ対策フィルターの影響について調べてあるものは見当たりませんでした。
以上より、
①夏になったらpc温度がどうなるか
②ホコリ対策フィルターがpc温度に影響するのかを調べてみました。
先に結論を書くと以下の通りです。
・pc温度と湿度の相関は低く、pc温度と室温は高い
・フィルターを付けると、pc温度は約5℃上がる
・統計的に、フィルターの有無でpc温度と室温の線形近似の傾きに差があるとはいえないが、切片に差があると言える
・ファンにつけるフィルターに、100均の台所用のものは少しまずいかもしれない
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1. 調査概要
1.1 目的
夏に備えて、気候とpc温度(グラボ温度)の関係を調べます。
またpcへのホコリ侵入対策の有無での変化を調べます。
1.2 ホコリ侵入対策
ホコリ侵入対策というのは、こちらです。
フェルトのようなメッシュのような素材のシートを、全ての吸気口と排気口に取り付けています。フィルターは、キャンドゥで購入した台所のファン用のものです。
2. 調査結果
2.1 結果整理及び使用したデータについて
今回の目的は、大まかに知ることなので、適当にデータを取って、簡単に分析したいと思います。データの概要は下の表です。
データの記録タイミングは適当です。思い出したときに記録しました。また、室温と湿度は6年前に購入したニトリの時計から、pc温度はマイニングソフトのNICEHASHのiosアプリのGPU温度から取得しています。以上より、ガバ計測です。
2.2 計測結果
2.2.1 相関係数
プロット図の前に相関係数です。
【フィルタ無し】
フィルタ無 | 室温[℃] | 湿度[%] | pc温度[℃] |
室温[℃] | 1.000 | ||
湿度[%] | -0.187 | 1.000 | |
pc温度[℃] | 0.950 | -0.204 | 1.000 |
【フィルタ有り】
フィルタ有 | 室温[℃] | 湿度[%] | pc温度[℃] |
室温[℃] | 1.000 | ||
湿度[%] | -0.122 | 1.000 | |
pc温度[℃] | 0.948 | -0.149 | 1.000 |
やはりpc温度と室温はダイレクトに関係があるようですね。湿度はほとんど関係ないようです。
2.2.2 プロット図から
データは以下のようになります。図は線形近似をしてあります。
続いては対数近似のものです。
いづれもRも高いので良いですね。
フィルタ―有りで、冷房を付けず、夏の室温40℃を超えるであろう部屋で、現状の設定でのマイニングは問題があるかもしれません。
2.3 フィルターの有無による差の検定
ここからは統計的な話になります。
この回帰式に差があるかどうか、つまり「フィルターの有無で傾きが異なるのか?切片が異なるのか?」を分析するために、線形モデルに共分散分析をしていきたいと思います。
私も詳しくは知らないですが、共分散分析の概要はこちらのサイトが分かりやすいです。
共分散分析(ANCOVA)とは?共変量で調整する意味をわかりやすく|いちばんやさしい、医療統計
共分散分析(ANCOVA):平行性の検定①傾き共通モデルを作る - 統計を学ぶ化学系技術者の記録
2.3.1 傾きの差の検定
ここでは、傾き、つまり平行性の検定です。帰無仮説「すべての回帰直線の傾きが等しい」ことを検定するため、
「フィルター有無で傾きを共通にした場合の回帰式の残差平方和」と
「フィルター有無で個別に設定した場合(2.2.2 プロット図からの最初の画像)の回帰式の残差平方和」の残差を比較することになります。
詳細は参考URLを見てください。そのまま計算していますが、合っているかは保証できません(笑)
傾き共通式
残差平方和:S_1=S_11+S_12=28.52+23.69=52.22
残差の自由度:ϕ_ε1=データの総数ϕ_N-回帰式の自由度ϕ_β1=28−(2+1)=25
(傾きが共通の場合、回帰式y=b1x+aが2つあっても、1種の傾きと2種の切片になるので、回帰式の自由度の合計は3。)
個別の回帰式
残差平方和:S_2=S_21+S_22=27.63+18.10=45.70
残差の自由度:ϕ_ε1=データの総数ϕ_N-回帰式の自由度ϕ_β2=28−(2+2)=9
(こちらは回帰式y=bx+aが2つに対して、切片と傾きがそれぞれ異なるので、回帰式の自由度の合計は4。)
↓
「残差の差」の平方平均:MS_A=(S_1−S_2)/(ϕ_ε1−ϕ_ε2)=6.48
「個別回帰式の残差」の平方平均:MS_ε=S_2/ϕ_ε2=26.209=1.90
↓
この平方平均を用いて「傾きが共通である」ことを帰無仮説としたF検定を行います。
F=MS_A/MS_ε=3.40
自由度(1,24)、α=0.95のF値=4.26に対して小さいので、「傾きが平行である事は否定できない」⇒「傾きは平行である」と言えます。
2.3.2 切片の差の検定
ここでは、切片の検定です。帰無仮説「切片が等しい」ことを検定するため、「傾き共通の回帰の残差」と「まとめて回帰することにより増えた残差」の比較することになります。
傾き共通式
これは上記の計算と同様です。
残差平方和:S_1=S_11+S_12=52.22
残差の自由度:ϕ_ε1=データの総数ϕ_N-回帰式の自由度ϕ_β1=25
全データの回帰式
残差平方和:S_3=S_31+S_32=104.45
残差の自由度:ϕ_ε3=データの総数ϕ_N-回帰式の自由度ϕ_β3=28−2=26
(y=bx+aの回帰式から予想値を求めているので、切片と傾きが自由度2を引いた26が残差の自由度。)
↓
「傾き共通回帰式の残差」の平方平均:MS_ε1=S_1/ϕ_ε1=52.23
「全データの回帰式による残差の増加」の平方平均:MS_A3=(S_3−S_1)/(ϕ_ε3−ϕ_ε1)=2.09
↓
F=MSε1/MS_A3=25.0
自由度(1,24)、α=0.95のF値4.24に対して大きいので、帰無仮説「切片は等しい」という帰無仮説は棄却され、「切片に差がある」と言えます。
【結論】
・pc温度と湿度の相関は低く、pc温度と室温は高い
・フィルターを付けると、pc温度は約5℃上がる
・統計的に、フィルターの有無でpc温度と室温の線形近似の傾きに差があるとはいえないが、切片に差があると言える
・ファンにつけるフィルターに、100均の台所用のものは少しまずいかもしれない
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