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考察~お得なPCを求めて~

この記事の最新verです。

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Twitterでゲーミングpcを買おうとしている人のツイートが流れてきたのと、最近の動向が知りたかったので、やってみました。まぁ1時間ぐらいで出来ちゃうぐらいなので。

 

1.  重回帰分析とは

回帰分析というのは簡単に言えば、「AがBにどのような影響を及ぼしたか」の近似式を求めることです。

例えば、「Aさんは身長150cm体重51kg、Bさんは身長160cm体重60kg、Cさんは身長170cm体重70kg」だった場合、

体重[kg]=1.0×身長[cm]-100[cm]

というような大体の式が見えきます。これが回帰分析のイメージです。重回帰分析は身長以外にも体形とか筋肉量だとか、体重を推定するための要素が多い場合の回帰分析といったイメージでしょうか。

理系なら高校か大学でやりますし、Excelで出来るほど容易、解釈もしやすい便利なものです。今回は、Excelの分析ツールを用います。

 

2.  重回帰分析で推定したモデルの概要

推定したモデルは以下のようになっています。

(pc価格[円])=β1+β2×(CPU性能)+β3×(GPU性能)+β4×(メモリ[GB])+β5×(SSD[GB])+β6×(HDD[GB])

ここで

pc価格[円]:pc本体の購入に必要な価格

α1~α6:推定するパラメータ

CPU性能:搭載CPUのベンチマークスコア(PassMark)

GPU性能:搭載GPUベンチマークスコア(Time Spy(DX12))

メモリ[GB]:搭載しているRAMメモリ容量

SSD[GB]:搭載しているSSD容量

HDD[GB]:搭載しているHDD容量

*1

 

3.  使用するデータ

パソコンの価格や、CPU・GPUの品番、メモリサイズ等のデータは、「ゲーミングPC 徹底解剖サイト」さんから引用しました。こちらのサイトは非常に参考になります。実際に私が購入するpcを選んだ決め手は、こちらのサイトで好評だったためです。ゲーミングpcの購入を検討されている方にオススメです。

ゲーミングPC徹底解剖 – BTOパソコンのレビュー特化型情報サイト

 

GPU、CPUを製品名からベンチマークスコアに変換する際には、「PC自由帳」さんの記事から引用しました。こちらのサイトもpc購入、周辺機器購入にあたり役に立つ記事が多くおすすめです。

GPU(グラフィックボード)性能比較表【2023年最新版】 | PC自由帳

 

サンプルデータ数は141件です。

*2

 

4.  推定結果

推定結果は以下となります。

つまり、

(モデルから推定されるpc価格[円])=-7558+2.89×(CPU性能)+8.36×(GPU性能)+415×(メモリ[GB])+39.1×(SSD[GB])+27.8×(HDD[GB])

となります。

 

5.  考察

5.1  結果について

・良好な結果が得られました。t値もほとんどが有意(95%)となっています。

・パラメータの正負も納得できますし、数値はあくまで回帰分析の結果なのでおいておいて、1GB当たりの価値がメモリ>SSD>HDDなのも納得できます。

 

5.2  お得なモデルは?

ここでは、重回帰分析より推測されるお得なモデルをピックアップします。

 

5.2.1  割引額

モデルから推定されるpc価格[円]が販売価格より低い方がお得です。

割引額を以下のように定義します。

割引額[円]=販売価格ーモデルから推定されるpc価格

割引額のTop10は画像のようになっています。太字のR列が割引額、斜体のD列が「ゲーミングPC 徹底解剖サイト」さんが出しているコスパになります。(F列 販売価格、Q列 モデルから推定されるpc価格)

割引額とコスパ相関係数は0.59です。

 

5.2.2  割引率

割引額では、高価格帯のモデルが有利のため、ここでは割引率でランク付けします。

割引率を以下のように定義します。

割引率[%]=割引額/実際のpc価格

割引率のTop12は画像のようになっています。太字のS列が割引率になります。

また割引率とコスパ相関係数は0.62です。

 

6.  問題点

6.1  価格帯とコスパ

・一般的にCPUとGPUの性能は価格に対して漸近的で、高級になるほど値段上昇に伴う性能向上が小さいと思われます。この記事のモデルは単純な線形モデルのため、それらを考慮しておらず、高級なほどコスパが悪いとしている可能性があります。

・中価格帯は需要が多いため競争が進みコスパが良いと考えられます。

・低価格帯と高価格帯はサンプルが少ないです。

以上より今回のモデルでは、中価格帯以外はあまり信用できなさそうです。

 

6.2  CPUとGPU

・搭載されるCPUとGPUの性能については相関が高く、説明変数同士の相関が高い場合には重共線性の問題が生じている可能性があります。

・重共線性の問題:具体例として前述の体重を求める回帰分析を考えます。説明変数として、その人自身の身長だけの場合(①)と、相関の強い父親(母親)身長も変数に入れる(②)場合を考えます。

①:体重=1×その人身長-100cm

②:体重=a×その人身長+b×父親の身長-100cm

①が正しいとすると、

②ではaとbの二つがあり、その人の身長と父親の身長は相関も強いので、a=1,b=0でも、a=0.5,b=0.5でも高い精度になります、もっといえばa=100,b=-99でも高い精度になるため、推定が難しくなるというイメージです。

ちなみにCPU性能とGPU性能の相関は0.70です。一般に0.9や0.8より高い相関があれば重共線性の問題が生じるとされているので、CPUとGPUのどちらかだけの方が良いモデルになる可能性があります。

他にも問題は色々ありますが、今回はパスします。

 

7.  結論

(モデルから推定されるpc価格[円])=-7558+2.89×(CPU性能)+8.36×(GPU性能)+415×(メモリ[GB])+39.1×(SSD[GB])+27.8×(HDD[GB])

 

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質問などはTwitter@Dgoto24まで

 

 

 

*1:※1:恐らくCPUやGPUは消費電力等のスペックもあるためベンチマークスコアだけはあまり良いとは言えないかもしれません。多分それぞれ製品を定数項としてパラメータを入れ推定するのが最も良い方法だと思われます。メモリ等のサイズも同様です。しかし、それだけの数のパラメータを安定して推定するためのデータ集めは現実的ではないため、やめました。

*2:※2:それぞれの参照日は2023/3/14となります。最近は歴史的な円安(135円/ドル)も記録しているので、為替に影響されやすいゲーミングpcの分析はそれこそ「時期が悪いぞ」かもしれません。