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考察~お得なpcを求めて~(2022/4/29)

先日、私は22万のゲーミングpcを購入しました。

その際に考えたのは、当たり前のことですが「予算の範囲内でできるだけ性能が高いこと」です。恥ずかしながらpcについては完全な素人だったので、数か月間ぐらい適当に調べて購入しました。今思うと、もう少しやり方があったのではないかなと考えてました。

幸いなことに私には少し統計の知識があるので、今更ですが、それを使ってお得なpcを知りたいと考えました。この記事では、統計の重回帰分析という手法でお得なpcを大雑把に解明していきます

 

1.  重回帰分析とは

回帰分析というのは簡単に言えば、「AがBにどのような影響を及ぼしたか」の近似式を求めることです。

例えば、「Aさんは身長150cm体重51kg、Bさんは身長160cm体重59kg、Cさんは身長170cm体重71kg」だった場合、

体重[kg]=1.0×身長[cm]-100[cm]

というような大体の式が見えてくると思います。これが回帰分析のイメージです。重回帰分析は身長以外にも体形とか筋肉量だとか、体重を推定するための要素が多い場合の回帰分析といったイメージでしょうか。

理系なら高校か大学でやりますし、Excelで一瞬で出来るほどメジャーで容易、解釈もしやすい便利なものです。今回は、Excelの分析ツールを用いたいと思います。

 

2.  重回帰分析で推定したモデルの概要

推定したモデルは以下のようになっています。

(pc価格[円])=β1+β2×(CPU性能)+β3×(GPU性能)+β4×(メモリ[GB])+β5×(SSD[GB])+β6×(HDD[GB])

ここで

pc価格[円]:pc本体の購入に必要な価格

α1~α6:推定するパラメータ

CPU性能:搭載CPUのベンチマークスコア(PassMark)

GPU性能:搭載GPUベンチマークスコア(Time Spy(DX12))

メモリ[GB]:搭載しているRAMメモリ容量

SSD[GB]:搭載しているSSD容量

HDD[GB]:搭載しているHDD容量

*1

 

3.  使用するデータ

パソコンの価格や、CPU・GPUの品番、メモリサイズ等のデータは、「ゲーミングPC 徹底解剖サイト」さんから引用しました。こちらのサイトは非常に参考になります。実際に私が購入するpcを選んだ決め手はこちらのサイトで好評だったためです。ゲーミングpcの購入を検討されている方にオススメです。

ゲーミングPC徹底解剖 – BTOパソコンのレビュー特化型情報サイト

GPU、CPUを製品名からベンチマークスコアに変換する際には、「PC自由帳」さんの記事から引用しました。こちらのサイトもpc購入、周辺機器購入にあたり役に立つ記事が多くおすすめです。

CPU性能比較表【2022年最新版】 | PC自由帳

サンプルデータ数は87件です。

*2*3

 

4.  推定結果

推定結果は以下となります。

つまり、

(モデルから推定されるpc価格[円])=2.46×(CPU性能)+10.7×(GPU性能)+1400×(メモリ[GB])+36.7×(SSD[GB])+17.0×(HDD[GB])-14190

となります。

 

5.  考察

5.1  結果について

・良好な結果が得られました。決定係数Rも高く、t値もほとんどが有意(95%)となっています。切片だけが有意ではなかったのが残念です。

・切片以外のパラメータの正負も納得できますし、数値はあくまで回帰分析の結果なのでおいておいて、1GB当たりの価値がメモリ>SSD>HDDなのも納得できます。

 

5.2  お得なモデルは?

ここでは、重回帰分析より推測されるお得なモデルをピックアップしたいと思います。

 

5.2.1  割引額

モデルから推定されるpc価格[円]が販売価格より低い方がお得であると考えられます。

割引額を以下のように定義します。

割引額[円]=販売価格ーモデルから推定されるpc価格

割引額のTop10は画像のようになっています。太字のU列が割引額、斜体のW列が「ゲーミングPC 徹底解剖サイト」さんが出しているコスパになります。(N列 販売価格、T列 モデルから推定されるpc価格)

嬉しいことに私が購入した製品(raytrek XF)は6位/87件でした。Top4の製品は「ゲーミングPC 徹底解剖サイト」さんでもコスパ9越えなので、間違いなさそうですね。

ちなみにコスパの平均は5.6点、最小値-1.1、25%タイル3.8、75%タイル7.5、最大値10です。また割引額とコスパ相関係数は0.57で、相関があると言えそうです。

 

5.2.2  割引率

割引額では、高価格帯のモデルが有利のため、ここでは割引率でランク付けしたいと思います。

割引率を以下のように定義したいと思います。

割引率[%]=割引額/モデルから推定されるpc価格

割引率のTop12は画像のようになっています。太字のV列が割引率、斜体のW列が「ゲーミングPC 徹底解剖サイト」さんが出しているコスパになります。(N列 販売価格、T列 モデルから推定されるpc価格)

製品名が太字のものは割引額でTop10に入っていたもので、割引率でも大半を占める結果になりました。まぁそうなりますね。しかし、9位と10位は割引額は2.4万程度で割引額ではランク外でしたが、率ではランクインしています。コスパもかなり高いため、こちらの製品も良いと言えそうです。

また割引率とコスパ相関係数は0.67で、やや強い相関があると言えそうです。

 

6.  問題点

6.1  価格帯とコスパ

・一般的にCPUとGPUの性能は価格に対して漸近的で、高級になるほど値段上昇に伴う性能向上が小さいと思われます。しかし、実際には高性能でしかできないことも多く、今後数年は十分使えることを考えると、買うべき品もあるかもしれません。この記事のモデルは単純な線形モデルのため、それらを全く考慮しておらず、高級なほどコスパが悪いとしてしまっている可能性があります。

・上記について、指数やlog等の非線形関数を使えば解決しそうですが、データに適合する関数形式を見つけるためにかなりの労力が必要になる上に、非線形では線形の場合より説明変数の影響が分かりにくくなるので、今回はパスしました。

・しかしながら、高価格帯はコスパにこだわっていなさそうなので、そもそも性能と値段を分析してお得なpc探してやろうと思う野郎なんて、眼中になさそうですね。

・また、中価格帯というのは性能と価格のバランスが良く、需要が多いため競争が進みコスパが良いと考えられます。実際に、サンプルデータのpc価格分布は、平均22.0万、最小値9.8万、25%タイル15.5万、75%タイル26.5万、最大値54万ですが、割引額・割引率でピックアップしたTop12のうち11個は15.5万~26.5万円の範囲内です。

・まぁ、低価格帯と高価格帯はサンプルが少なすぎるような気がします。先述のように性能と価格のバランスが良いたぶん11世代i5~12世代i7、RTX3060~3070周辺の似たような製品が多いので、データが偏っています。

以上より今回のモデルでは、中価格帯以外は特に信用できなさそうです。

 

6.2  CPUとGPU

・搭載されるCPUとGPUの性能については相関が高く、説明変数同士の相関が高い場合には重共線性の問題が生じている可能性があります。

・重共線性の問題:具体例として前述の体重を求める回帰分析を考えます。説明変数として、その人自身の身長だけの場合(①)と、相関の強い父親(母親)身長も変数に入れる(②)場合を考えます。

①:体重=1×その人身長-100cm

②:体重=a×その人身長+b×父親の身長-100cm

①が正しいとすると、

②ではaとbの二つがあり、その人の身長と父親の身長は相関も強いので、a=1,b=0でも、a=0.5,b=0.5でも高い精度になります、もっといえばa=100,b=-99でも高い精度になるため、推定の際に定めるのが難しくなるというイメージです。

・ちなみに相関行列は以下のようになっています。

  価格 CPU性能 GPU性能 メモリ SSD HDD
価格 1.00          
CPU性能 0.76 1.00        
GPU性能 0.91 0.70 1.00      
メモリ 0.54 0.25 0.49 1.00    
SSD 0.65 0.62 0.63 0.20 1.00  
HDD 0.35 0.10 0.24 0.46 -0.09 1.00

一般に0.9や0.8より高い相関があれば重共線性の問題が生じるとされているらいしいので、もしかしたらCPUとGPUのどちらかだけの方が良いモデルになる可能性があります。重共線性の問題はVIFでチェックするのが良いとされていますが、今回はパスします。

他にも問題は色々ありますが、疲れたので終わります。

 

7.  結論

Dgoto24が購入した中価格帯のモデルは、ゲーミングpc専門家的な人からも好評で、適当に計算した感じ統計的にも良いモデルのようなので、安心しました。

 

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質問などはTwitter@Dgoto24まで

 

 

 

*1:※1:恐らくCPUやGPUは消費電力等のスペックもあるためベンチマークスコアだけはあまり良いとは言えないかもしれません。多分それぞれ製品を定数項としてパラメータを入れ推定するのが最も良い方法だと思われます。メモリ等のサイズも同様です。しかし、それだけの数のパラメータを安定して推定するためのデータ集めはめんどい現実的ではないため、やめました。

*2:※2:それぞれの参照日は2022/4/29となります。最近は歴史的な円安(130円/ドル)も記録しているので、為替に影響されやすいゲーミングpcの分析はそれこそ「時期が悪いぞ」かもしれません。

*3:※3:「ゲーミングPC 徹底解剖サイト」さんの表には89件のデータがありましたが、データの記載ミス、またGPUの性能データなしのため2件除去しています。